Classici giapponesi con furigana
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めいじかいか あんごとりもの
明治開化 安吾捕物
Leggi 明治開化 安吾捕物 (めいじかいか あんごとりもの) di Sakaguchi Ango (坂口 安吾) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 30.755 caratteri · 62 schermate
何時ごろか分らないが、さッきの女に起された。
みちびかれるままに邸をでて、手をひかれて歩いた。あッちへ曲り、こッちへ曲りして立ち止ったところで女はチョウチンをかざして、ささやいた。
「この石を起してちょうだい。シッ! 声をだしちゃダメよ。唸り声をたててもダメ。これを上へ起すのよ」
大きな石だ。大の男が五人がかりでも動かせそうもない大石。花嵐はこの一ツしか特技がないのだから、力技と分ればあとはナニクソと大石に挑みかかって無我夢中。大地にくいこんだ大石をついに起してしまった。
「そのまま、ちょッと待って」
女はチョウチンの火を消した。そしてシャガミこんで何をしたか分らないが、やがてまたチョウチンをつけて、
「石を元通りにしてちょうだい。手荒らな音をたてず、静かにね」
満身の怪力を要する難事業だが、花嵐はこれもやりとげた。
再び女に手をとられて、あッちへ、こッちへとグルグル歩きまわったあげく、
「この石を背負うのよ。今度は、背負って、ちょッと歩いてちょうだいね」
これも相当な大石だが、さッきの石にくらべれば楽なもの。言われるままにそれを背負う。
二三十間歩いて、命じられた場所へ静かに石をおろした。