Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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はるのとうぞく

春の盗賊

太宰 治

Leggi 春の盗賊 (はるのとうぞく) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 29.212 caratteri · 58 schermate

Aozora Bunko

私は、このどろぼうの風采に就いては、なんにも知らないということになっているのであるから、まさか、私がかれの訴人の一人である、などということは、絶対に有り得ないのである。それに私は、警察にはとどけないつもりであります、とはっきり、かれに明言している。かれは、私を、うらみに思うわけは無い。実は、私、このどろぼうが他日、捕えられ、牢へいれられ、二、三年のちに牢から出たとき、そのときのことを心配していたのである。あいつのために、おれは牢へいれられたと、うらみ骨髄に徹して、牢から出たとき、草の根をわけても、と私を捜しまわり、そうして私の陋屋を、焼き払い、私たち一家のみなごろしを企てるかもわからない。よくあることだ。私は、そのときのことを懸念し、僕は、なんにも知らないよ、と素知らぬふりで一本、釘を打って置いたのである。また、私は、あとあと警察のひとが、私を取調べるときのことをも考慮にいれて置いたのである。私は、もちろん、今夜のこのできごとを、警察に訴え出るつもりは無い。新聞に出たりなどして、親戚友人などに、心配、軽蔑されるのは、私の好むところでは無いのである。