Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.663 caratteri · 97 schermate
「そりゃあ参りますとも……。御用とおっしゃりゃあ逃げ隠れは出来ませんからね」と、小柳は煙草入れを取り出してしずかに一服すった。
隣りのおででこ芝居では打出しの太鼓がきこえた。ほかの芸人たちも一種の不安に襲われたらしく、息を殺して遠くから二人の問答に耳を澄ましていた。狭い楽屋の隅々は暗くなった。
「日が短けえ。親分も気が短けえ。ぐずぐずしていると俺まで叱られるぜ。早くしてくんねえ」
と、半七は焦れったそうに催促した。
「はい、はい。すぐにお供します」
ようやく楽屋を出て来た小柳は、そこの暗いかげにも二人の手先が立っているのを見て、くやしそうに半七の方をじろりと睨んだ。
「おお、寒い。日が暮れると急に寒くなりますね」と、彼女は両袖を掻きあわせた。
「だから、早く行きねえよ」
「なんの御用か存じませんが、もし直きに帰して頂けないと困りますから、家へちょいと寄らして下さるわけには参りますまいか」
「家へ帰ったって、金次はいねえぞ」と、半七は冷やかに云った。
小柳は眼を瞑じて立ち止まった。やがて再び眼をあくと、長い睫毛には白い露が光っているらしかった。
「金さんは居りませんか。