Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(一)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(一) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 47.663 caratteri · 97 schermate
三
一種の湿気を帯びた苔の匂いが、この老舗の古い歴史を語るようにも見えた。
「好い石燈籠だ。近頃にこれをいじりましたか」と、半七は何げなく訊いた。
「いいえ、昔から誰も手を着けたことはありません。こんなに見事に苔が付いているから、滅多にさわっちゃいけないと、お内儀さんからもやかましく云われていますので……」
「そうですか」
滅多にさわることを禁じられているという古い石燈籠の笠の上に、人の足あとが微かに残っていることを、半七はふと見つけ出したのであった。あつい青苔の表は小さい爪先の跡だけ軽く踏みにじられていた。
三
苔に残っている爪先の跡はちいさかった。男ならば少年でなければならない。半七はどうも女の足跡らしいと認めた。この曲者はよほど経験に富んだ奴と想像していた半七の鑑定は外れたらしい。女とすればやはりお菊であろうか。たとい石燈籠を足がかりにしても、町育ちの若い娘がこの高塀を自由自在に昇り降りすることは、とても出来そうには思われなかった。
半七はなにを考えたか、すぐに菊村の店を出て、現代の浅草公園第六区を更に不秩序に、更に幾倍も混雑させたような両国の広小路に向った。