Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(三)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(三) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 201.612 caratteri · 405 schermate
まったくお葉は主人を殺すつもりで、其月が俳諧の点をしている油断を見すまして、うしろから不意に剃刀で斬り付けたんだそうです。まだ驚くことは、そうして主人を殺して置いて、血のついた手を台所で綺麗に洗って、爪まで取って、着物も別のものに着かえて、血のはねている着物は丁寧にたたんで葛籠の底にしまい込んで、それから髪をかきあげて外へ出る支度をしているところであったそうで、馬鹿というのか、大胆というのか、あんまり度胸がよすぎるので、其蝶も呆気に取られてしまったそうです」
「そうでしょう」と、わたしも思わず溜息をついた。
「いや、それからが又大変」と、老人は顔をしかめた。「あきれてぼんやりしている其蝶をつかまえて、お葉はこれからお前さんの家へ連れて行ってくれと云う。其蝶はもう呆れるというよりは、なんだかむやみに恐ろしくなって、碌々に返事もしないで突っ立っていると、お葉は急に眼の色をかえて、こういうところを見られた以上は唯は置かれない。素直にわたしを連れて行ってくれるか、さもなければここでおまえさんも殺してわたしも死ぬと云って、其月を殺した剃刀をつきつけたので、其蝶も絶体絶命、それでもさすがは男ですから無理に女の刃物を引ったくって、半分は夢中で庭さきへ逃げ出すと、お葉もつづいて飛び降りてくる。