Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 217.272 caratteri · 434 schermate
さびしいと云っても東海道であるから、狐のうわさを知らない旅びとは日暮れてここを通る者もあったが、あいにくに今夜は往来が絶えていた。巳之助が正気にかえったのは、それから二刻ほどの後で、彼は何者にか真向を撃たれて昏倒したのである。ようよう這い起きて、闇のなかを探りまわると、提灯はそこに落ちていた。ふところをあらためると、紙入れも無事であった。
「お糸はどうしたか」
星あかりと潮あかりで其処らを透かして視ると、女の形はもう残っていないらしかった。自分をなぐった奴が女を運んで行ったのか、それとも消えてなくなったのか、巳之助にもその判断が付かなかった。第一、自分を殴り倒した奴は何者であろう。物取りならば懐中物を奪って立ち去りそうなものであるが、身に着けた物はすべて無事である。お糸はやはり狐の変化で、その同類が自分に復讐を試みたのかと思うと、巳之助は急に怯気が出て、惣身が鳥肌になった。口では強そうなことを云っていても、彼は決して肚からの勇者でない。こうなると怖い方が先に立って、彼は怱々にそこを逃げ出した。
鈴ヶ森の縄手を通りぬけて、鮫洲から浜川のあたりまで来ると、巳之助は再び眼が眩んで歩かれなくなった。