Classici giapponesi con furigana
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はんしちとりものちょう
時代推理小説 半七捕物帳(四)
岡本 綺堂
Leggi 時代推理小説 半七捕物帳(四) (はんしちとりものちょう) di 岡本 綺堂 (おかもときどう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 217.272 caratteri · 434 schermate
半七捕物帳
一
明治三十年三月十五日の暁方に、吉原仲の町の引手茶屋桐半の裏手から出火して、廓内百六十戸ほどを焼いたことがある。無論に引手茶屋ばかりでなく、貸座敷も大半は煙りとなって、吉原近来の大火と云われた。それから四、五日の後に半七老人を訪問すると、老人は火事の噂をはじめた。
「吉原がたいそう焼けたそうですね。あなたにお係り合いはありませんか」
「御冗談でしょう。しかし六、七年前に焼けて、今度また焼けて、吉原も気の毒ですね」と、わたしは云った。
「まったく気の毒です」と、老人は顔をしかめた。「どうも吉原の廓は昔から火に祟られるところで、江戸時代にもたびたび火事を出して、廓内全焼という記録がたくさん残っています。なにしろ狭い場所に大きい建物が続いている上に、こんにちと違って江戸時代の吉原は、どんなに立派な大店でも屋根だけは板葺にする事になっていたんですから、火事の場合なぞはたまりません。片っぱしから火の粉を浴びて、それからそれへと燃えてしまうんです。したがって、怪我人なぞも多ござんしたよ。大勢の客が入り込んで、ほとんど夜あかしの商売ですから、自然に火の用心もおろそかになって、火事を起し易いことにもなるんですが、時には放火もありました。