Classici giapponesi con furigana
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こよみ
暦
壺井 栄
Leggi 暦 (こよみ) di 壺井 栄 (つぼいさかえ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 56.332 caratteri · 112 schermate
普通どこの家でもたいていの場合娘を貰いに来られるのを待っていて、仲人から話を持ちこまれても親たちは形式的に一二度は断りの言葉を述べる。たとえその相手がひどく気に入っている場合でさえもいちおうは断ってみるのであった。それを当り前のこととして仲人は何度も足を運び、嫁の方ではむりに望まれて、と箔をつけて嫁がされるのである。そういうしきたりから考えればいねはたしかにふずくり嫁であった。働き者の重吉のまじめさを見こんで、いねの母親はどうでもこうでも娘を貰ってほしいと、まだるっこい形式をとらずに娘をふずくったのである。自分自身夫に見捨てられた妻であり、小姑に悩まされた嫁であったいねの母親は、男の子はあるが一人娘のいねにふたたび自分と同じ道を歩かせまいと永い間思いつめていた果ての手段であったにちがいない。いねは自分がふずくり嫁であるということもずっと後になって耳に入ったが、別にそれで引け目を感じねばならない思いは何もなかった。それよりもあまりてきぱきとは事を運べないたちの母親のしまに、よくもまあ、とそのことの方に何か不思議をさえ感じ、これが本当のことなら、あれほどの夫のために髪を切り、墓参で暮す母親のあの土蔵に閉じこもったような一生の中で、これはたった一つ、日の目を見た出来事なのだろうと思った。