Classici giapponesi con furigana
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もめんいぜんのこと
木綿以前の事
柳田 国男
Leggi 木綿以前の事 (もめんいぜんのこと) di 柳田 国男 (やなぎたくにお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 177.586 caratteri · 348 schermate
ただ最後に一つだけ、断っておかずにいられぬことは、この同時代の同情豊かなる生活描写が、すべて各俳人の個々の実験に拠って立つこと、たとえば現代の文学者の私有制のごときものでなかったことである。或る一人が物を知り世を観じて得たものを、常に自分ばかりの功名にしか利用しなかったなら、たとえ短い一期間にもせよ、正風の俳諧は是までは栄えなかったろう。地方に割拠した連衆の群は小さかったけれども、彼らの間だけではその一人の感じたことが、いつのまにか他の朋輩の修養にもなっていた。是が俳諧の驚くべき感化であり、同時にまた模倣の根絶し難かった微妙なる理法でもあったと思う。芭蕉は優れたる指導者であると同時に、明敏無比なる世相の観察家でもあったが、なお自分でない者の経験の中から、間接にあの時代の人生を多く学んでいる。それが今日はもう衰えた夜話しというものの力か、またはしんみりとした旅人の聴き上手によるかは知らず、恋でも信仰でも明らかによその身の上であったものを、当の自身の経歴であったと同様に体験している。是が後年の連句の書臭を帯び、または概念を追いまわすか、そうでなければ我から小さな見聞に跼蹐するものとの、争うべからざる一つの相違であった。