Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
いなかがえり
林芙美子随筆集
林 芙美子
Leggi 林芙美子随筆集 (いなかがえり) di 林 芙美子 (はやしふみこ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 58.157 caratteri · 118 schermate
誰も眺める人もないだろう、この石垣のところに、ひょろひょろと咲いている沁みるような赤い花の色は、時々、わたしの花のおもいでのなかへ、鮮やかな色をしてよみがえって来ることでしょう。今朝は浅間の噴火の灰がこんなに降りましたと云うことで、庭木にも雑草にも薄白く灰が降りかかっていましたが、そのぽくぽくした灰の色と、この建物は、何だか淋しい対照をみせていました。中庭の柵のなかには、赤ちゃんのおしめが沢山干してあります。さっき独房で、ひとりでのしをつくっていた女のひとのかしらと、わたしはその派手な浴衣のおしめの柄を一つ一つ眺めていました。
ここの女囚のひとたちのお風呂場をわたしはみせて貰いましたけれど、これは、石の広い土間の真中に、腰高な矩形の浴槽があって、それに背中あわせに三人ずつ、這入るのだそうです。何だか、寺の風呂のようなところでした。ささやかな憩いの場所なのですが、こことても時間にきめられて這入るので、世間の風呂好きの女のように勝手にふるまうわけにはゆかないでしょう。務めぶりのよいひとだったら、風呂へ這入れる率も多いのだそうです。わたしは、ここに働いているひとたちをみて、何だかこの償いが済んだら、もう再び罪を犯すようなひとはいないだろうとおもいました。