Classici giapponesi con furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Leggi 枡落し (ますおとし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.765 caratteri · 67 schermate
「おばさんには口返しができねえや」芳造は頭のうしろを掻いた、「――念には及ばねえだろうが、そのあいだに、もしも困るようなことがあったら、うちの親方がなんとでもするからって」
「いいの、いいのよ」とおみきは片手を振って云った、「そんな心配はちっともないって、親方に云ってちょうだい」
「なんだか、どうも」と芳造はまた頭のうしろを掻いた、「小僧の使いみてえになっちまったが、とにかくそういうことだから」
「有難うよ、親方によろしく云ってちょうだい、おこころざしは本当にうれしゅうございましたってね」
「なんだか引込みがつかねえが、それじゃあ親方にそのとおり云っておきます」
「おうめ」おみきは娘に眼くばせをした、「その包みを持ってその辺まで送っていっておあげ」
それにゃあ及ばねえ、と芳造は慌てて云ったが、おうめは待っていたように、包みを持って立ちあがった。
「困るよ」と芳造は強い調子でなく云った、「女といっしょにあるいたりすれば、町の連中のいい笑い者になるばかりだ」
「ここは浅草だよ芳っさん」とおみきが微笑しながら云った、「御徒町とちがって、若い二人伴れなんか珍らしいこっちゃありゃあしない、いいからまあいってごらんなさいよ」