Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ますおとし

枡落し

山本 周五郎

Leggi 枡落し (ますおとし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.765 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

九

九

「大蛇の辰なんていう人間はいませんでした」と芳造はぬるくなった茶を啜りながら云った、「――幸助という男は大牢で、おじさんといっしょにくらし、身の上話なんぞもしたんでしょう、そこからこんどのような話をでっちあげたんだと思います」

いつかもおうめちゃんと話したんだが、この世に生きていると、思いがけないところに枡落しがあって、うっかりするとそれにひっかかるって。いちど金を渡せば、幸助というやつはなんとか理屈をつけてはせびりに来るでしょう。しかしこれでその心配もなくなりましたよ、と芳造は云った。

「でも、うちの人はどうなの」とおみきがきき返した、「まだ伝馬町にいるとすると」

芳造は手を振って遮った、「なわやの親方に頼んで、いっしょに北(町奉行所)へいってもらいました、そして調べてもらいましたら、あの人は五十日もまえに八丈ヶ島へ送られたそうです、人別を抜かれたあとだから知らせはしなかったということですが、島送りの書類も見せてもらいましたよ」

「ではもう大丈夫なのね」

「なにしろ八丈ですからね」と芳造は表情をひき緊めて云った、「――あっしは八丈がどこにあるかも知らねえが、いのち懸けでも島抜けはできめえってこってすよ」