Classici giapponesi con furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Leggi 枡落し (ますおとし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.765 caratteri · 67 schermate
三
――人間はいつかなにかの病気で死ぬものだ、先月は将軍家の子だって亡くなったろう、と父は口ぐせのように云った。それに、酒は人間が作りあげたいちばん尊い宝物だ、毛物にも鳥にも魚にも作れやあしなかった、酒が人間の害になるなんてえのは、えせ医者のたわごとよ。
人間はいつかなにかの病気で死ぬものだ、どんなに養生に凝っても、人間は死ぬことかられることはできないのだ。父はいつもそう云っていた。そして四十歳そこそこで、吐血をして死んだ。医者は酒毒だと云ったけれど、おみきは定命だと心の中で思った。父の心は亡くなった母のことでいっぱいだった、あの不養生も早く母のところへいきたいためだったのかもしれない。
千太郎が跡目を継ぐと、職人たちはみな店から出てしまった。
――あんな朴念仁の下で働かされちゃあ息の根が止まっちまう。
職人たちはそう云って、半年ばかりのうちにみんな去っていってしまった。
三
角店へ移ってから五六日して、繩屋喜六がやって来た。
「どうしたんだね」と彼はふきげんな口ぶりで云った、「この出窓を塞いだら、うちの中へ陽がはいらないじゃないか、どういうつもりなんだね」