Classici giapponesi con furigana
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ますおとし
枡落し
山本 周五郎
Leggi 枡落し (ますおとし) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.765 caratteri · 67 schermate
おうめは眼をみはった。十二月か正月か、いまではよく覚えていないが、玉川の水は氷のように冷たく、七つ八つの彼には、どこで蜆がとれるのかわからなかった。寒さのためにがたがたふるえながら、彼は川の中へ膝までつかりながら、底の砂をしゃくってまわった。川岸に沿って、枯れた葭や芦が生えてい、それが肌を刺すような風に吹かれて、乾いた葉ずれの音をたてていた。
「おらあ泣きゃあしなかった、泣くようなゆとりもなかった」と芳造は云った、「しじみをとらなきゃあならない、しじみはどこにいるんだろうと、それだけで頭はいっぱいだった」
初めは三十か五十しかとれなかったが、そのうちに五十がらみの男が、やはり蜆をとりに来ていて、可哀そうだと思ったのだろう、しじみはこういうところにいるんだ、と教えてくれた。嘘ではなかった。その男の教えてくれたところには、蜆がいくらでもいた。
「おらあ大名にでもなったような気持で、うちへとんで帰っておふくろに見せた」と芳造は云った、「――そのとき、おふくろがなんて云ったか考えられるかい、おふくろは温たかそうな綿入れの半纒をひっかけ、ふところ手をして出て来ると、そのまますぐ売りにいってこいと云った、しじみをとるのは朝の暗いうちに限るといわれていた、どういうわけか知らない、本当か嘘かもわからないが、おれは暗いうち