Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

どんなに努力しても逃れられない運命のようなものが、彼を強い掌で握りしめているらしかった。宇治は拳銃を腰に収めようとあせっていた。手がぶるぶるふるえるので、拳銃がうまく銃嚢に入らなかった。略刀帯の金具にふれて、拳銃はカチカチと冷たく鳴った。それでもどうにか押し込み止め金をかけた。高城が花田の死体から視線を離さないまま近づいて来て、低い乱れない声で聞いた。

「――止めをさしますか」

宇治はそれに答えなかった。胴ぶるいを押えるように両腕を組み、顔を高城からそむけた。足が重く倒れそうだった。それでも二三歩堤を登ろうとした時、小屋の入口に立つ女が視線をよぎった。今奥から走り出て来たらしかった。先刻の女である。白い衣とそして跣であった。宇治を見おろすと鋭い声で何か叫んだ。憎しみにあふれた叫びであった。そしてよろよろと小屋を離れ、宇治の方に近づいた。

女は泣いては居なかった。乾いた緑色の眼を一ぱい開いて、たじろがず強い視線を宇治にそそいでいた。女との距離は一間しかなかった。宇治の顔に瞳を定めたまま、女は背後に廻した左手をゆっくり前に出そうとするらしい。はっと身体を硬くした途端、鈍色につらぬくものが女の掌に光った。