Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
いや、国民学校だったわね。体は見なかったけれど、棺に入れて運ばれるのを見た。うちの校舎でお通夜があった筈よ」
「そうだ。その棺をかついだ一人が、おれだよ」
「まあ、あんたもあの時の海軍さん?」
五郎はうなずいた。女は五郎の頭から足まで、確めるように眺めた。
「あの棺の中に、このダチュラの花を、いっぱい詰めてやった。この花は摘むとすぐにしおれたけれど、匂いは強かった。棺の中で、いつまでも匂っていたよ」
「そういう花なのよ。これは」
「しかしなぜ死体を国民学校なんかに運んだんだろう」
「あそこはもともとお寺だったのよ。一乗寺と言ってね。明治の初めに廃寺になったの。その後に石造の仁王像が二つ、海から引上げられて、校庭に並んでるわ」
「それは気が付かなかった。もっともここには三週間しかいなかったし、学校内に入ったのも、その時だけだからね。二十年ぶりにやって来ると、おれはまったく旅人だ」
「そうねえ。あの頃の海軍さんとは、とても見えないわ」
女は憐れむような、また切ないような眼で、五郎を見た。
「でも、あたしも小学生じゃない。三十を過ぎちまった」
「君の家は、坊にあるのかね?」