Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さくらじま

桜島・日の果て・幻化

梅崎 春生

Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate

Aozora Bunko

「いくらだね?」

代金を払う。昼食べたのがソースにひたしたポークカツなので、まだ咽喉が乾いている。かき氷は咽喉を冷やしただけで、乾きはとめなかったようだ。彼は道端に赤い唾をはいた。

〈おれは早く取戻さねばならぬ。何かを!〉

西日が五郎の背中を照りつける。埃っぽい道を、上衣を肩にかけて歩いている。同じような道をいつか通ったことがある。両側は家並でなく、一面の唐黍畠だ。唐黍畠から犬が這い出して来る。彼の背後から、トラックがやって来て、彼を追い越す。道を横切ろうとする犬をいきなり轢く。犬の胴体を轢き、トラックはちょっと速度を落し、また元の速度に戻って走り去る。犬はじっと横たわっている。突然口から赤い血がかたまって流れ出る。手足が痙攣して、ぐっと突っ張る。血のにおいがして、もう彼は歩けない。……

そこには昔の面影は、全然なかった。かつては畠もあったし、樹も生えていた。家もあった。五郎がいた素人下宿は、一番奥で、その先は白川の河原になっていた。河原の水たまりから蚊がたくさん発生して、学生の彼をひどく悩ませた。

〈やはり洪水にやられたんだな〉

ここらは割に土地が低いので、河原からあふれ出た泥水が、ものすごい勢いで家を歪めたり、押流したりしたのだろう。