Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
下宿人の所に出入りするのがどうして悪いんだ」
私は観念して歩き出した。考えて見れば無理に別れて帰ったとて、私の宿には何一つとして面白いものはないのだ。
泥竜館の玄関には誰もいなかった。私達が穿き物を下駄箱に入れていたら、その音を聞きつけたと見えて帳場のあたりから下宿のおかみさんが出て来た。目が赤くはれている。
「お帰りなさいませ。いろいろお騒がせしまして」
何と言ってあいさつを交していいのか判らないらしく、天願氏は目玉をぎょろぎょろさせた。
「此の度は――とうとう――」
「とうとう駄目でございました」
おかみさんは急に袖を目にあてた。肩が動くのが痛ましかった。私達三人は黙然として板の間に立っていた。来なければよかったと私は悔いた。二人は下宿の住人だから仕方がないけれど、私は何の関係もない異邦人だ。
「どうぞ。死顔でも見てやって下さい」
おかみさんの侘しい後姿にくっついて廊下を三人が歩いて、奥の間の八畳に行った。
部屋の真中に床がしいてあって、顔の部分には白い布をかぶせてあった。そのまわりに三四人の人がすわって居て、皆うなだれている。手巾を目頭にあてている洋装の若い女がいた。