Classici giapponesi con furigana
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さくらじま
桜島・日の果て・幻化
梅崎 春生
Leggi 桜島・日の果て・幻化 (さくらじま) di 梅崎 春生 (うめざきはるお) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 169.810 caratteri · 345 schermate
もはや眼前に迫る死のぎりぎりの瞬間で、見栄も強がりも捨てた私が、どのような態度を取るか。私という個体の滅亡をたくらんで、鋼鉄の銃剣が私の身体に擬せられた瞬間、私は逃げるだろうか。這い伏して助命を乞うだろうか。あるいは一身の矜持を賭けて、戦うだろうか。それは、その瞬間にのみ、判ることであった。三十年の探究も、此の瞬間に明白になるであろう。私にとって、敵よりも、此の瞬間に近づくことがこわかった。
(ねえ、死ぬのね。どうやって死ぬの。よう。教えてよ。どんな死に方をするの)
耳の無いあの妓がこう聞いた時、その声は泣いているようでもあったし、また発作的な笑いを押えているような声でもあった。酔いの耳鳴りの底で、私は再び鮮かにその幻の声を聞いた。私は首を反らして、壁に頭をもたせかけ、そして眼をつむった。頭の中で、蝉が鳴いている。幾千匹とも知れぬ蝉の大群が、頭の壁の内側で、鳴き荒んでいる――
洞窟の内の、此の不思議な宴は、ますます狂躁に向い、変に殺気を帯びて来た。入口から風が吹き抜けると、歌声がまた新しく起った。卓子がぐらぐらゆれる。私は眼を開いた。ソ連の参戦も糞もあるか。