Classici giapponesi con furigana
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おうとう
桜桃
Leggi 桜桃 (おうとう) di Dazai Osamu (太宰 治) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 4851 caratteri · 10 schermate
そうして、来客が毎日、きまって十人くらいずつある。
「仕事部屋のほうへ、出かけたいんだけど」
「これからですか?」
「そう。どうしても、今夜のうちに書き上げなければならない仕事があるんだ」
それは、嘘でなかった。しかし、家の中の憂鬱から、のがれたい気もあったのである。
「今夜は、私、妹のところへ行って来たいと思っているのですけど」
それも、私は知っていた。妹は重態なのだ。しかし、女房が見舞いに行けば、私は子供のお守りをしていなければならぬ。
「だから、ひとを雇って、……」
言いかけて、私は、よした。女房の身内のひとの事に少しでも、ふれると、ひどく二人の気持がややこしくなる。
生きるという事は、たいへんな事だ。あちこちから鎖がからまっていて、少しでも動くと、血が噴き出す。
私は黙って立って、六畳間の机の引出しから稿料のはいっている封筒を取り出し、袂につっ込んで、それから原稿用紙と辞典を黒い風呂敷に包み、物体でないみたいに、ふわりと外に出る。
もう、仕事どころではない。自殺の事ばかり考えている。そうして、酒を飲む場所へまっすぐに行く。
「いらっしゃい」
「飲もう。