Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Leggi 榎物語 (えのきものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.519 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

十一

「しかし事情をはっきりさせなければ、世間の噂を止めることはできませんよ」

「あたしがいなくなってもでしょうか」

「いなくなるとは」

「どこかよそへいってしまえば、噂もしぜんに消えると思いますけれど」

「それはおかしい、あなたがよそへいって、国吉という人が来たらどうするんです」と安二郎が云った、「そのときのために、これまで榎の側をはなれなかったんでしょう、いまになってよそへゆくくらいなら、私と結婚するのも同じことじゃありませんか」

よそへゆくにしても、この街道ははなれない。越後街道をはなれずにいれば、あの人が来たとき逢えるだろう。おすげさんが健次という人をみつけたように、どちらかでお互いをみつけるに違いない。

そう思ったけれども、さわは口に出しては云わず、とにかく二三日考えさせてくれと答え、安二郎は「では二三日ですよ」と念を押して去った。

十一

これまでどうしようもなかった気持が、二三日考えただけでどうにかなるとは思わなかった。安二郎のようすが圧倒的で、のっぴきさせないというふうな感じだったから、いっときれに云ったまでであるが、するとその日の午後、もう陽が傾きかけたじぶんに、野だての席へ足助がやって来た。