Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えのきものがたり

榎物語

山本 周五郎

Leggi 榎物語 (えのきものがたり) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 33.519 caratteri · 67 schermate

Aozora Bunko

と老人は云い、地面に突いている膝を両手で掴んだ、「あなたに茶の手前をみせてもらったということは話したのに、それがおさわさんだということは云わなかった、どういうわけでしょう」

佐平とは誰だろう、足助とどういう関係があるのか、さわには見当もつかなかったが、やはり無表情に黙っていた。

「あなたもお逢いになりましたね、佐平さんと」足助は疑わしげにさわの眼を覗いた、「二度だか三度だか、たしか角庄で茶をたてなすったということです。品のいいきれいな娘さんだとは云いましたが、おさわさまだったとはほのめかしもしませんでした、まさか、あなた方お二人とも、この足助を憎んでらっしゃるんじゃあないでしょうね」

「あなたは人違いをしています」とさわは冷たい口ぶりで云った、「あたしはさわという者ではありませんし、佐平という人も存じてはいません」

「そんな筈はない、そんな筈があるもんですか」足助はかたくなに首を振った、「佐平さんも初めは知らないふりをしていなすったが、国吉というむかしの名を云ったら隠しきれなくなりましたよ」

国吉。さわは全身がすっと浮きあがるように思った。国吉、国吉が自分と逢った。