Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 112.073 caratteri · 223 schermate

Aozora Bunko

あのごたごたがあってから、女たちは和泉町のほうに家を買って、三人いっしょに住まわせてある。彼はその家で寝泊りをし、道場に泊ることは稀にしかなかった。道場のほうは飯炊きの老人夫婦を置き、六郎兵衛の身のまわりは、新八に世話をさせていた。

「今日はなんだ」

おみやが坐るのを、眼尻で見ながら六郎兵衛が訊いた。お部屋さまが森田座の見物で、自分は老女のゆるしを得てぬけて来たのだ、とおみやは答えた。厩橋侯ともある人の愛妾が芝居見物だって。ええ、お部屋さまは京橋のなんとやらいう、大きな商家そだちだそうで、よく隠れて見物にゆくんです、とおみやが云った。

六郎兵衛は振向いた、「それで、またなにか聞きだしたのか」

「そう思うんですけれど」

「そう思うとは」

「あたしが殿さま付きの腰元にあがったことは、もう話しましたわね」とおみやが坐り直した。

「同じことを幾たび云うんだ」

「あたしこういうことは忘れっぽいから」

「簡単に云え」

「三日まえに兵部さまがみえたんです」

「一ノ関は出て来たのか」

「ええ、それでそのときの話しに、また原田さまのことと、伊東新左衛門という人のことと、ほかに変なことを聞きました」