Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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もみノきはのこった

樅ノ木は残った

山本 周五郎

Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate

Aozora Bunko

番の者は水を汲みかけたまま、そこに立って見送っていた。弥兵衛は首を振りながら、いそぎ足に近よって来た。

「やはりだめだ」と弥兵衛は立停って云った、「ずいぶんねばってみたがいけない、却ってこんなことを他にもらしたというので、こっぴどく油をしぼられたよ」

玄四郎は唾をのんだ、「しかし」と彼はかすれた声で訊いた、「やることは、やるのでしょう」

「もうその時刻なんだ」

「見ることだけでもできませんか」と玄四郎は云った、「私はいちど太田さんの太刀さばきが拝見したかった、しかも今日は真剣でしょう、近くでとはいいません、はなれたところからでも結構ですから、貴方の太刀さばきだけでも拝見させて下さい」

「むりを云うな」と云い、弥兵衛は踵を返して歩きだした、「それでなくても怒られたばかりなんだ、まあ諦めてくれ」

玄四郎は追っていった、「だが仕手に加えてもらうのではなく、隙間からでもいい、ただ見るだけなんですから」

表て座敷へゆくみちさえわかればよかった。士分には取立てられたが、むろんまだめみえ以下のことで、表て座敷へはあがったことがないし、各役所の並んでいる建物から、杉戸口を御殿へはいった向うはまったく不案内といってよかった。