Classici giapponesi con furigana
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もみノきはのこった
樅ノ木は残った
山本 周五郎
Leggi 樅ノ木は残った (もみノきはのこった) di 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 145.078 caratteri · 285 schermate
十左は頷き、眼を拭いて盃を伏せながら、飲むとぐあいが悪いと云って、七十郎を見た。
「それで、どうする」
「里見老になにか意見があるか」
「涌谷を考えた」
「命乞いか」
「事情をよく話して、涌谷が口をきいてくれれば、――」
七十郎は首を振った、「いかん、命乞いはいかん、そんな屈辱は忍べない、ここは肚をきめるときだ」
「むろん、これはおれだけの思案だ」
「それはできない、争いの根本は国老の失態だし、直接には一ノ関の手で、今村善太夫が故意にしたことだ、席次のことで恥をかいたうえに、また命乞いをするなどということができるものか」
「ではどうしようというのだ」
「おれの先祖は政宗公の直臣だった」と云って、七十郎はゆっくりと、手酌で一つ飲んだ、「伊東肥前(重信)が、天正十六年に、安積郡本宮の合戦で討死をしたことは、かくれもないことだ、いまこそ処士だが、おれの躯には先祖の血がながれている、おれは死にどきだけは誤らないつもりだ」
「すると、死ぬつもりか」と十左が坐り直した。
「ほかに途があるか」と七十郎が訊き返した。
十左は眼を拭き、ちょっと口ごもってから、そこを考えるために来たのだ、と云った。