Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 178.724 caratteri · 355 schermate
まさかもうお別れのごあいさつではあるまい。それにしても、「ごあいさつ」という言葉が気にかかる。父が朝倉先生の辞職をほぼ決定的だと考えているらしいことは、ゆうべの口ぶりからもおおよそ想像されるが、しかし、自分たちが留任運動をはじめようとしていることを知りぬいていながら、何でそんなにごあいさつをいそぐのか、それが彼にはふしぎでならなかったのである。
あるいは留任運動について先生のお気持をさぐりたいためにたずねたのではあるまいか。それが平尾と全く同じ目的ではないにしても、何だかいやな気がする。――彼はもうだまってはいられなくなった。
「ゆうべのこと、先生に話したんですか。」
「話したよ。」
俊亮は平気で答えた。次郎は父がにくらしい気になりながら、せきこんでたずねた。
「先生はどう言っていられたんです。」
「べつに何とも言われなかった。ただ、かわいそうに、と言って気の毒そうな顔をしていられただけだよ。」
次郎は打ちのめされた感じだった。もう何も言う元気がなかった。だまってうなだれていると、俊亮はトマトのわき芽をつむのをやめて立ちあがりながら、
「おまえも一度先生をおたずねするといいね。