Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
円が何を意味するのか、われわれ素人にはわからんが、とにかく何か悟りを開いたという意味なんだろう。ところで、そのあとが面白い。その円を見た師匠の坊さんは、たったそれっきりか、と呶鳴りつけたんだ。すると弟子は、今度はその円をさっさと消してしまった、というのだ。どうだい、大沢、円を消してしまったところが非常に面白いではないかね。」
「はあ――」
大沢は少しも面白そうな顔をしていない。
「君も、どうなり、五年生相当な円を描くことは出来るようになったらしいが、まだその円を消すところまでは行っていないようだね。」
「はあ――」
大沢は、また「はあ」と答えた。今度は、しかし、何か思いあたるところがあるといったような返事の仕方だった。朝倉先生は、たたみかけて、
「君が、大の字なりに寝転んで、たんかを切ったところなんか、まるで円の上を三角で上塗りしたようなものだったね。それじゃ、せっかくの円も台なしだよ。」
「すみません。」
大沢は、その大きな肩をすぼめて、右手で後頭部をおさえた。
次郎は、さっきから、二人の対話に一心に耳を傾けていたが、大沢がすっかり弱りきっているのが、ふしぎでならなかった。