Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
」
「帰らない? そうかね。どこかに旅行でもするのかい。」
「そうじゃないと思います。」
「ふうむ?」
と、先生は、今まで地べたばかり見ていた眼をあげて、次郎を見た。
次郎は、今日自分がたずねて来たわけを話し出すには、いいきっかけだと思ったが、いざとなると、切り出すのがいやにむずかしくなった。で、
「大沢さんも帰らないそうです。」
と、つい遠まわしにそんなことを言ってみた。
「大沢も? そうか、じゃあ、二人で大いに頑張って勉強でもする気なんだろう。」
次郎は、期待に反して、そんなふうにごく無造作に話を片付けられてしまったので、いよいよ切り出しにくくなり、しばらく默って突っ立っていたが、とうとう思いきったように、言った。
「先生、僕……今日は先生に聞いていただきたいことがあるんですが……」
朝倉先生は、すると、やにわに立ち上った。そして次郎の顔をじっと見おろしたあと、
「そうか。……じゃあ、凉しいところに行こう。」
二人は、畑と風呂小屋との間に大きく枝を張っている柿の木の陰に腰をおろした。
次郎は、先生と二人で、こうして腰をおろしてみると、これまで胸につまっていたものが自然に溶けて行くような気がして、話し出すのが何か気恥しく感じられた。