Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
と言われたのが、新しい不安となって、彼の頭を困惑させたのである。
「私の言っていることがわかるかね。」
「わかりません。」
二人は、眼を見あったまま、ぽつんとそんな問答をとりかわした。そして、それからしばらくは、鶏のくっくっと鳴く声だけが聞えていた。
「君は、いま、狭い崖道を歩いているんだよ。」
次郎にとって、そんな言葉は、むろんもう少しも珍らしい言葉ではなかった。彼は、しかし、先生の語気や顔付にただならぬものを感じて、汗ばんだ額の下に、大きく眼を見張った。
「君は、これまで、永いあいだ苦労をして険しい道をのぼって来たようだが、その道は、これからの踏み出しよう一つで、君をもつと高いところに導いてくれる道にもなるし、君を見る間に破滅させる道にもなるんだ。そして、その大事な踏み出しは、――」
と、朝倉先生は、しばらく考えてから、
「一口に言うと、信か不信かでそのよしあしがきまるんだ。わかるかね。」
次郎にはさっぱりわからなかった。彼は眼を地べたにおとして考えるふうだった。先生は、無理もない、という顔をして、
「信というのは、悪魔の足でも、洗ってやればそれだけきれいになる、と信ずることだ。