Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
しかし、その視線はそろそろと先生の裸の胸をすべり、しまいにがくりと地べたに落ちていった。そして、もうその時には、彼の汗ばんだ制服の腕が、その眼からこぼれ落ちるものを拭きとろうとして、急いで顔におしあてられていた。
朝倉先生は、かなり永いこと同じ姿勢で立っていたが、やがて次郎の背をなでるようにして両手をはなし、「君がこれから真剣に考えなけりゃならん問題は――」と、いかにも考えぶかい調子で、
「もしお父さんの事情がそんなふうだとすると、君自身の将来をどうするか、という実際問題だ。さっきからの君の話では、兄さんはもう自分で何とか考えているらしいね。兄さんには大沢という友達もいるから、きっとうまく切りぬけて行くだろう。君も、自分でしっかり考えてみるんだよ。」
次郎はいそいで涙をふいた。そして、いくぶん恥しそうに顔をあげたが、ただ、
「はい。」
と答えたきり、また顔をふせた。
「むろん、中学を出るぐらいのことは、何とかなるさ。しかし、そのあとは、そう簡単にはいかんからね。兄さんだって、大沢がついていなけりゃ、ちょっと心配だよ。」
「僕。まだ志望をきめてないんですから、これからよく考えます。