Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 117.781 caratteri · 235 schermate
こんなことを言っている私自身にも、毎日、人間の汚ないところばかりが眼について、いいところはなかなか見えないんだ。学校にいても、どうかすると、生徒がみんな駄目なような気がして、逃げ出したい気持になることがあるよ。」
次郎は、おずおずと先生の顔を見上げた。先生はちょっと笑って見せたが、すぐ真顔になって、
「しかし、私は決して逃げ出しはしない。逃げ出すまえに自分を省みるんだ。そして生徒の心に神を見ることが出来ないのは、自分の心に神が育っていないからだと思うんだ。そう思うと、ひとりでに謙遜にならざるを得ない、教えるとか、導くとかいう傲慢な心は、いっぺんに消しとんで、ただ生徒のために祈りたい気持になって来る。何か大きなものに、祈って、祈って、祈りぬいて、自分を捧げきってしまいたい気持になって来る。ところが、そうなると、不思議に胸の奥から何とも知れない力が湧いて来るんだ。そりゃあ、自分ながら変な気がするよ。しかし考えてみると、私が、これまでどうなり学校というものに絶望しないで勤めて来たのは、そうした、反省というか、へり下るというか、或は祈るというか、とにかく自分というものを何とかしようと骨を折って来たおかげなんだ。