Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate
というのは、そのことについての父さんからの最初の手紙に、若い女の心をきずつけてはならないから、お前の肚がきまらないかぎり、道江本人には絶対秘密にするように、双方で固く申合わせてある、と書いてあったからだ。おそらく現在でもこの秘密は守られていることだと思う。要するに、道江のぼくに対する気持ちということと、ぼくに婚約の話が持ちかけられたということとは、最初から全然無関係のことだし、今でもやはり無関係だとぼくは信じている。この点をまず君に了解してもらいたいと思う。――」
次郎は、ふんと鼻を鳴らし、冷笑とも苦笑ともつかぬ変な笑いを口元にうかべた。しかし、その目は、むさぼるように先を読みすすんでいた。
「もっとも、こういうことは、いくら秘密にしても、周囲の空気で何とはなしにわかることもあるし、何かのはずみで、話の片鱗ぐらいは耳にはいらないものでもない。だから、道江がまるでこのことに感づいていないとは断言できないだろう。そして、もし感づいているとすれば、それが、よかれあしかれ、道江の心理に相当大きな影響を及ぼしているであろうことも、想像できないことではない。――」