Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

「どうも相すみませんでした。せっかくおいでいただきましたのに。」

荒田老は、しかし、それには答えないで、

「小関さんは、塾生をほっておいて帰るわけにもいきませんな。お気の毒じゃ。」

自動車は気まずい沈黙のうちに動きだした。四人はそれが門外に消えるまで見おくつていたが、その間も沈黙がつづいた。

やがて朝倉先生が小関氏を見て言った。

「ともかくも中にはいってお休みいただきましょう。ここではお茶も差しあげられませんし。」

「ええ。」

「塾生たちの様子は、あとで、集まっているところをまわってお歩きになっても、大よそわかると思いますが。」

「ええ。」

小関氏は、にがりきって、ただなま返事をするだけだった。それでも、朝倉先生が歩きだすと、しぶしぶそのあとにつづいた。朝倉夫人と次郎は、二三間はなれてそのあとを追った。二人はあるきながら、何度も顔を見あったが、口はきかなかった。

玄関をはいるころになって、小関氏が言った。

「せめて夕食後の時間でも、もっと有効に使ってもらいたいと思いますね。」

「もっと有効にとおっしゃいますと?」

朝倉先生は、靴をスリッパにはきかえながら、小関氏の顔を見た。