Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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じろうものがたり

次郎物語

下村 湖人

Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate

Aozora Bunko

「すると、先生はこれからどうなさるんです。」

「全国行脚だね。」

「講演をしておまわりですか。」

「講演はしない。したいと思っても、おそらくどこでもさせてはくれないだろう。まあ、せいぜい、ここの修了生を中心に、同志の座談会をひらくぐらいなものだね。それも、できるだけ目だたない方法でやらなくてはなるまい。何だか一種の秘密結社みたようになるかもしれないが、しかたがない。しかし、辛抱づよくつづけていけば、将来の国民生活の底力にはなるよ。目だたない底力にね。」

次郎は雲をつかむようで心ぼそい気がした。五百名の修了生があると言っても、それは全国に散らばれば無にひとしい勢力である。それに、そのなかの何人が、そうした運動に真剣に協力してくれるか、それも心もとない。これは朝倉先生の自己慰安にすぎないのではないか、とも思った。

「不賛成かね。」

朝倉先生は、次郎の気持ちを見透すように、微笑しながら言った。

「ええ――」

と、次郎がなま返事をすると、朝倉先生はその澄んだ眼を射るように光らせながら、

「君は、一粒の種をまく、という言葉を知っているだろう。ほんとうの仕事はその一粒からはじまるものなんだよ。