Classici giapponesi con furigana
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じろうものがたり
次郎物語
下村 湖人
Leggi 次郎物語 (じろうものがたり) di 下村 湖人 (しもむらこじん) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 200.443 caratteri · 398 schermate
これはまちがいのないことです。ぼくは断言します。」
「かりにまちがいのないことだとしても、そんなことを言って、何の役にたつんだ。」
「ぼくは、祝辞をやらせるのは絶対にいけないと思うんです。それをやめていただきたいんです。」
「それは不可能だ。」
「こちらからお願いさえしなけりゃあ、いいんでしょう。」
「そういうわけにはいかないよ。陸軍省からわざわざやって来るのに、知らん顔はできない。それではかえって悪い結果になるんだ。」
「すると、おめおめと降伏するんですか。」
朝倉先生の眼は、いよいよきびしく光り、しばらく沈黙がつづいた。しかし、そのあと、先生の唇をもれた言葉の調子は、気味わるいほど平静だった。
「本田は、友愛塾の精神が、だれかの祝辞ぐらいで、わけなくくずれてしまうような、そんな弱いものだと思っているのかね。」
先生の眼には次第に微笑さえ浮かんで来た。次郎はこれまでの勢いに似ず、すっかり返事にまごついた。
すると、先生は、今度は、次郎をふるえあがらせるほどの激しい調子で、
「血迷ったことを言うのも、たいていにしたらどうだ。聞き苦しい。」
次郎は、これまで、朝倉先生に、こんなふうな叱り方をされた記憶がまるでなかった。