Classici giapponesi con furigana
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おうしゅうきこう
欧洲紀行
横光 利一
Leggi 欧洲紀行 (おうしゅうきこう) di 横光 利一 (よこみつりいち) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 120.107 caratteri · 241 schermate
岩山を向うへ抜けるとそこから沙漠だ。はるか向うにオアシスが見える。
沙漠の中には物々交換時代の隊商の屯所がある。行く路には白い天幕の連った屋根が見えたので、隊商の宿泊所かと思ったら一面の塩の山だ。大きな風車が塩の上で廻っている。風が激しい。このあたりの人心嶮しと聞く。上陸時間を急がねば船が出るので、キャラバンの酪駝の匂いばかりを嗅ぎ廻っているようなものだ。暑い。
キヤラバンの疾風に眠る塩の山
ほとんど草木さえ植える事の不可能な土地、――水なく、暑気激しく、熱風吹き暴れるこのような土地でなければ生活出来ぬ人種もあるのだ。荘厳なものは岩の峻峰と空と太陽と城砦である。しかも、それらは極めて、壮麗で、ここに生活している人種とは比較を絶して美しい。こうなればも早や人間はこの自然を利用するわけにはいかなくなる。ただ自身の衰えを待つばかりだ。
岩焦けていのちを奪ふ砦かな
夕空の下をアデン出帆。ルビー色の山々が酒の中に溶け流れてゆくようだ。私はふと気がついたが、旅行というのは行く先の自然と人間とを比較することだと思う。それだけが作用だ。ところが、こんなに遠い紅海の真ん中で、突然、東京音頭や長唄のレコードを聴かされると、首を絞められたような気持になり、これは自分は刑罰を受けに誰かに流されたのだと気がつく。