Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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しんだちどり

死んだ千鳥

吉川 英治

Leggi 死んだ千鳥 (しんだちどり) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 15.539 caratteri · 32 schermate

Aozora Bunko

どうあろうかと案じていた胸の凝りが、いちどに解けて、見得もなく、両手をついて欣し泣きに云った。

『伏原様、この御恩は死んでも忘れませぬ。きっと、この恩は……』

ぽんと、煙管を下へ捨てて、伏原はその襟あしを見ながら笑った。

『あははは、何も、そうお礼にゃあ及ばない。身共とても、あなたに掌をあわせて拝まれる程な神や仏じゃないのだから』

『でも……折角、あなた様にも、京都へ上洛るおつもりで落札したお金でございましょうに』

『そこの意気は、お分りでござろうな』

『はい……お察しいたして居りまする』

『金はわずか五十両だが、その金は、身共に取っても、平田殿の望みと同様に、出世の足懸りにしようと思っていた金だ。……それをお譲りするからには、いわば男が、生涯の立身を犠牲にして、おん身に未来の華を譲ったも同じわけだ』

『……すみませぬ。……そう仰っしゃられては、何やらこのお金も』

『いやいや、もう、武士が一旦、貸したと云って手から放した金。戻されても受取れはせぬ。遠慮なく役立ててもらいたい』

『わが身ながら、余りといえば、厚顔しいお願い事をして、この御恩義をどうしてよいか分りませぬ』