Classici giapponesi con furigana
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すいごういぶん
水郷異聞
田中 貢太郎
Leggi 水郷異聞 (すいごういぶん) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.516 caratteri · 36 schermate
舟は前へ前へと往った。右を見ても左を見ても青い蘆の葉に鈍い鉛色の水が続き、そのまた水に青い蘆の葉が続いて見える。
(先生、これからお宅へお伺いしてもよろしゅうございましょうか)
壮い女は持前の癖を出して首をかしげるようにして云った。
(好いですとも、遊びにいらっしゃい、月、水、金の三日は、学校へ往きますが、それでも二時比からなら、たいてい家にいます。学生は土曜日に面会することにしてありますが、あなたは好いんです)
(では、これから、ちょいちょいおじゃまをいたします)
(好いですとも、お出でなさい、詩の話でもしましょう、実に好いじゃありませんか、この景色は)
(ほんとうにね、何人かの詩を読むようでございますのね、蘆と水とが見る限りこんなに続いてて)
「鯉こくがおよろしければ、おかわりは如何でございます」
省三は婢の声を聞いて鯉の椀を下に置いた。鯉の肉も味噌汁ももう大方になっていた。
「もうたくさん、非常に旨かったから、つい一度に喫べてしまったが、もうたくさん」
省三は急いで茶碗を持って飯を捲き込むようにしたが、厭なことを考え込んでいたために婢が変に思ったではないかと思ってきまりが悪かった。