Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
すいごういぶん
水郷異聞
田中 貢太郎
Leggi 水郷異聞 (すいごういぶん) di 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 17.516 caratteri · 36 schermate
※(ローマ数字3、1-13-23)
「お手紙がまいりました」
省三は桃色の封筒を見て好奇心を動かした。
「どこから来たのだろう、持って来たのかね」
「俥屋が持ってまいりました」
省三は手紙を受けとりながら、
「俥屋は待ってるかね」
と、云って裏を返して差出人の名を見たが名はなかった。
「お渡ししたら好いと云って、帰ってしまいました」
「そうかね、何人だろう、今日の委員か有志だろうが」
それにしては桃色の封筒が不思議であると思いながら開封した。罫のあるレターペーパーに、万年筆で書いた女文字の手紙であった。省三はちらと見たばかりで婢の顔を見て、
「よし、ありがとう」
「お判りになりましたか」
「ああ」
「では、また御用がありましたら、お呼びくださいまし」
「ありがとう」
婢が出て往くと省三は手紙の文字に眼をやった。それはその日公会堂に来て彼の講演を聞いた地位のあるらしい女からであった。彼はその手紙を持ったなりに女の地位を想像しはじめた。彼の心はすっかり明るくなっていた。
※(ローマ数字3、1-13-23)
省三は好奇心から八時十分前になると宿を出て、運河が湖水に入っている土手の上へ出かけて往った。そこには桃色の封筒の手紙をよこした女がいることになっていた。