Classici giapponesi con furigana
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えいじつしょうひん
永日小品
Leggi 永日小品 (えいじつしょうひん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.000 caratteri · 100 schermate
火鉢
すると与吉は、やっぱりなんでえ、なんでえ、擲ぐるぞと云いながらなおと崖の下へ寄って来た。じゃ欲しいのと喜いちゃんはまた柿を出した。欲しいもんけえ、そんなものと与吉は大きな眼をして、見上げている。
こんな問答を四五遍繰返したあとで、喜いちゃんは、じゃ上げようと云いながら、手に持った柿をぱたりと崖の下に落した。与吉は周章て、泥の着いた柿を拾った。そうして、拾うや否や、がぶりと横に食いついた。
その時与吉の鼻の穴が震えるように動いた。厚い唇が右の方に歪んだ。そうして、食いかいた柿の一片をぺっと吐いた。そうして懸命の憎悪を眸の裏に萃めて、渋いや、こんなものと云いながら、手に持った柿を、喜いちゃんに放りつけた。柿は喜いちゃんの頭を通り越して裏の物置に当った。喜いちゃんは、やあい食辛抱と云いながら、走け出して家へ這入った。しばらくすると喜いちゃんの家で大きな笑声が聞えた。
火鉢
眼が覚めたら、昨夜抱いて寝た懐炉が腹の上で冷たくなっていた。硝子戸越に、廂の外を眺めると、重い空が幅三尺ほど鉛のように見えた。胃の痛みはだいぶ除れたらしい。思い切って、床の上に起き上がると、予想よりも寒い。