Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えいじつしょうひん

永日小品

夏目 漱石

Leggi 永日小品 (えいじつしょうひん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.000 caratteri · 100 schermate

Aozora Bunko

金

婆さんは腫れぼったい瞼の奥から細い眼を出して、眩しそうに豊三郎を見上げた。豊三郎は急に自分の眼を机の上に落した。

三日目に豊三郎は花屋へ行って菊を買って来た。国の庭に咲くようなのをと思って、探して見たが見当らないので、やむをえず花屋のあてがったのを、そのまま三本ほど藁で括って貰って、徳利のような花瓶へ活けた。行李の底から、帆足万里の書いた小さい軸を出して、壁へ掛けた。これは先年帰省した時、装飾用のためにわざわざ持って来たものである。それから豊三郎は座蒲団の上へ坐って、しばらく軸と花を眺めていた。その時窓の前の長屋の方で、豊々と云う声がした。その声が調子と云い、音色といい、優しい故郷の母に少しも違わない。豊三郎はたちまち窓の障子をがらりと開けた。すると昨日見た蒼ぶくれの婆さんが、落ちかかる秋の日を額に受けて、十二三になる鼻垂小僧を手招きしていた。がらりと云う音がすると同時に、婆さんは例のむくんだ眼を翻えして下から豊三郎を見上げた。

金

劇烈な三面記事を、写真版にして引き伸ばしたような小説を、のべつに五六冊読んだら、全く厭になった。飯を食っていても、生活難が飯といっしょに胃の腑まで押し寄せて来そうでならない。