Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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えいじつしょうひん

永日小品

夏目 漱石

Leggi 永日小品 (えいじつしょうひん) di Natsume Sōseki (夏目 漱石) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 50.000 caratteri · 100 schermate

Aozora Bunko

その間も始終心配そうに柱時計を眺めていた。ようやく衣裳を揃えて、大きな欝金木綿の風呂敷にくるんで、座敷の隅に押しやると、髪結が驚いたような大きな声を出して勝手口から這入って来た。どうも遅くなってすみません、と息を喘ませて言訳を云っている。御作さんは、本当に、御忙がしいところを御気の毒さまでしたねえと、長い煙管を出して髪結に煙草を呑ました。

梳手が来ないので、髪を結うのにだいぶ暇が取れた。旦那は湯に入って、髭を剃って、やがて帰って来た。その間に、御作さんは、髪結に今日は美いちゃんを誘って、旦那に有楽座へ連れて行って貰うんだと話した。髪結はおやおや私も御伴をしたいもんだなどと、だいぶ冗談交りの御世辞を使った末、どうぞごゆっくりと帰って行った。

旦那は欝金木綿の風呂敷を、ちょっと剥って見て、これを着て行くのかい、これよりか、この間の方がお前には似合うよと云った。でも、あれは、もう暮に、美いちゃんの所へ着て行ったんですものと御作さんが答えた。そうか、じゃこれが好いだろう。おれはあっちの綿入羽織を着て行こうか、少し寒いようだねと、旦那がまた云い出すと、およしなさいよ、見っともない、一つものばかり着てと、御作さんは絣の綿入羽織を出さなかった。