Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぬまふじん

沼夫人

泉 鏡花

Leggi 沼夫人 (ぬまふじん) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 39.541 caratteri · 78 schermate

Aozora Bunko

ソレ鼻、ソレ口、と思う処が、ふらふらと浮いて来ては、仰向けに沈んで消える。もうちっとで、もうちっとで……と乗出すけれども、もうちっとで絡らない。

急って、いて、立ったり居たり、汀もそちこち、場所を変えてうろついて見込んだが、ふと心づいてせば、早や何が染るでもなく、緑は緑、青は青で、樹の間は薄暮合。

「旦那もう晩方だよ。」

と云って、正吉が帰途を促がしたのは余程の前で、それを、無理遣りに一人帰してからさえ、早や久しい。

独になって、思うさま、胸にたたんだ空想に耽ろうと、待構えたのはこれからと、まず、ゆっくり腰を卸して、衣紋まで直して、それから横になって見たり、起返って見たり。

とかくして沼の中を、身動きもしないで覗込んだ……

あわれ水よ、偉なる宇宙を三分して、その一を有する汝、瀬となり、滝となり、淵となり、目のあたり我が怪しき恋となりぬ。

いで、霧となって虹を放ち、露と凝って珠ともなる。ここに白骨を包んでは、その雪のごとき膚とならずや、あの濡れたような瞳とならずや。

と思い思う、まさしく、そこに、水底へ、意中の夫人が、黒髪長くかかって見ゆる。

見ようとすると、水が動く。