Classici giapponesi con furigana
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いんばいふ
淫売婦
葉山 嘉樹
Leggi 淫売婦 (いんばいふ) di 葉山 嘉樹 (はやまよしき) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 13.446 caratteri · 27 schermate
彼女の肩の辺から、枕の方へかけて、未だ彼女がいくらか、物を食べられる時に嘔吐したらしい汚物が、黒い血痕と共にグチャグチャに散ばっていた。髪毛がそれで固められていた。それに彼女の(十二字不明)がねばりついていた。そして、頭部の方からは酸敗した悪臭を放っていたし、肢部からは、癌腫の持つ特有の悪臭が放散されていた。こんな異様な臭気の中で人間の肺が耐え得るかどうか、と危ぶまれるほどであった。彼女は眼をパッチリと見開いていた。そして、その瞳は私を見ているようだった。が、それは多分何物をも見てはいなかっただろう。勿論、彼女は、私が、彼女の全裸の前に突っ立っていることも知らなかったらしい。私は婦人の足下の方に立って、此場の情景に見惚れていた。私は立ち尽したまま、いつまでも交ることのない、併行した考えで頭の中が一杯になっていた。
哀れな人間がここにいる。
哀れな女がそこにいる。
私の眼は据えつけられた二つのプロジェクターのように、その死体に投げつけられて、動かなかった。それは死体と云った方が相応しいのだ。
私は白状する。実に苦しいことだが白状する。――若しこの横われるものが、全裸の女でなくて全裸の男だったら、私はそんなにも長く此処に留っていたかどうか、そんなにも心の激動を感じたかどうか――