Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ゆなのたましい

湯女の魂

泉 鏡花

Leggi 湯女の魂 (ゆなのたましい) di 泉 鏡花 (いずみきょうか) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 27.936 caratteri · 55 schermate

Aozora Bunko

あいにく神通がないので、これは当然に障子を開け、また雨戸を開けて、縁側から庭へ寝衣姿、跣足のままで飛下りる。

戸外は真昼のような良い月夜、虫の飛び交うさえ見えるくらい、生茂った草が一筋に靡いて、白玉の露の散る中を、一文字に駈けて行くお雪の姿、早や小さくなって見えまする。

小宮山は蝙蝠のごとく手を拡げて、遠くから組んでも留めんず勢。

「おうい、おうい、お雪さん、お雪さん、お雪さん。」

と声を限り、これや串戯をしては可けないぜと、思わず独言を言いながら、露草を踏しだき、薄を掻分け、刈萱を押遣って、章駄天のように追駈けまする、姿は草の中に見え隠れて、あたかもこれ月夜に兎の踊るよう。

「お雪さん、おうい、お雪さん。」

間もやや近くなり、声も届きましたか、お雪はふと歩を停めて、後を振返ると両の手を合せました。助けてくれと云うのであろう、哀れさも、不便さもかばかりなるは、と駈け着ける中、操の糸に掛けられたよう、お雪は、左へ右へ蹌踉して、しなやかな姿を揉み、しばらく争っているようでありました。けれども、また、颯と駈け出して、あわやという中に影も形も見失ったのでありまする。