Classici giapponesi con furigana
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せんこうてい「ハビヒツブルグ」
潜航艇「鷹の城」
小栗 虫太郎
Leggi 潜航艇「鷹の城」 (せんこうてい「ハビヒツブルグ」) di 小栗 虫太郎 (おぐりむしたろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 132.395 caratteri · 263 schermate
それによると、四百米の速力で、厚さ五粍の護謨板を射撃したとき、そこには、わずか帽子ピンほどの孔しか明かなかった。もちろん、距離に比例して穴は大きく、先端の鋭鈍いかんにも、関係はあるがね。しかしこの機械錐では、針先ほどの孔が当然だと云いたい。どうだ、君か、それとも女将、君か。まさか、早苗じゃないだろうね。消音機をかけて、角度が分っている、この胸を射抜いたのは……」
そうしてついに、お悦の死が密室の殺人ではなくなってしまった。
それが、お勢か、成戸であろうか、早苗であろうか、――それともなると、ふたたび三伝の張る、翼のような影が下りてくるのだった。
稲野谷が殺され、それから、五時間とは経たぬ間に、今度はお悦が斃された。ひとりは密通、一人は裏切り――その嗤いが、微かな余韻のようなものを引き、成戸は、たまらなくなったように地蟲のいる床のうえを踏み付けた。
それで再び、この室は死人と二人だけになってしまった。
「ハハハハ、莫迦め。この機械錐が発射されて、あんな小さな孔だけですむと思うか。やはりこの室は、蟻も入り込めぬ密室に変りはないのだ」
そう云って、隠していた小刀の錐を、ポンと床のうえに投げ捨てたが、そうして、彼の詭策が成功したにもかかわらず、またもとの憂鬱な表情に帰ってしまうのだった。