Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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こぞうのゆめ

潤一郎ラビリンスV――少年の王国

谷崎 潤一郎

Leggi 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.989 caratteri · 144 schermate

Aozora Bunko

」

こう云って、千手丸は口元に悧巧そうな笑みを洩した。

或る時は瑠璃光丸が、遥かな都の空を望んで、絵図をひろげたような平原に、蜿蜒と連なって居る王城の甍をさし示しながら、

「ねえ千手丸、あすこも浮世に違いないが、彼処には、此の寺の薬師堂や大講堂にも劣らない、立派な楼閣がありそうに見えるではないか、そなたはあの人家を何だと思う。」

と、不審らしく眉をひそめた。

「あすこには、日本国を知ろしめす皇帝の御殿がある。浮世のうちでは、彼処が一番浄く貴い住まいなのだ。しかし人間があの御殿に住まえるような、十善の王位に生れるには、前世にそれだけの功徳を積まなければならないのだ。だからわれ/\は、やっぱり此の山で修業をして、今生に出来るだけの善根を植えて置かなければなるまいぞ。」

こう云って、千手丸は年下の児を励ました。

だが、励ます方も、励まされる方も、此れだけの問答では、容易に好奇心を満足させる訳には行かなかった。上人の仰せに従えば、浮世は幻に過ぎないと云う。山の上から眺めた景色が、たとい美しそうに見えても、ちょうど水の面に映って居る月の光のようなもので、影に等しく泡に等しいものであると云う。