Classici giapponesi con furigana
ja-reading.com
Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.
こぞうのゆめ
潤一郎ラビリンスV――少年の王国
谷崎 潤一郎
Leggi 潤一郎ラビリンスV――少年の王国 (こぞうのゆめ) di 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 71.989 caratteri · 144 schermate
夜になっても、不安と興奮とに脳裡を支配されて、彼は到底与えられた問題を、静かに落ち着いて考える訳には行かなかった。長えに封ぜられて居た「女人」の秘密を発き、いたるところに驚異の文字を連ねてある不思議な手紙を、もう少し胸騒ぎが治まってから読み返して見ようと思いながら、そっと机の上に載せたまゝ、彼は瞑目して一心に佛を念じた。なつかしい舊友の消息ではあるけれど、折角自分が勇猛精進の志を堅めて、随縁起行の功を積もうとして居るものを、不意に横あいから掻き乱そうとするのが、恨めしくもあり腹立たしくもあった。
「読めば迷いの原になる。いっそ焼き捨てゝしまおうかしらん。」
こう思う傍から、「そんなに危険を感ずるほど、自分は弱い人間ではない。」と、己れの卑怯を嘲笑う気にもなった。自分が迷うのも迷わぬのも、御佛の思召一つである。浮世が幻でないと云う千手丸の言葉が、果してどれだけ信ずるに足るか、どれだけ自分を誘惑するか。その誘惑に堪えられないくらいなら、自分は御佛に捨てられたのであると、おり/\頭を擡げて来る好奇心が、彼にいろ/\の弁解の辞を作らせずには措かなかった。
「………そも/\女人のやさしさ美しさ、絵にも文にもかきつくしがたく、何にたとえ何にくらべてか告げまいらせ候わん。