Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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ぼんのうひぶんしょ

煩悩秘文書

林 不忘

Leggi 煩悩秘文書 (ぼんのうひぶんしょ) di 林 不忘 (はやしふぼう) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 86.705 caratteri · 173 schermate

Aozora Bunko

「おおしんど! なんてえことを、上方女なら、言うところでげす。さあ旦那、めえりやした。宗七はお約束どおり、立派に山へめえりやした。煮るなと焼くなと、わちきゃお前の心まかせじゃわいのう――とおいでなさいましたかね。」

三角石に腰かけた大次郎は、呆れて相手を見下ろして、

「有森! 七年目だな。」

「へ? なるほど。ここで会うたが七年目、覚悟はよいか、でんでんでん――こりゃあ太棹で、へへへへへ。」

「利七、真面目に話そうではないか。」

「利七? ははあ! 有森利七でげすかい。厭ですよ旦那、旦那もお人が悪い。そりゃあ昔のことで、今じゃ宗七――。」

「宗七?」

「へえ。れんぼ流しの宗七さんで。どうぞ御ひいきに――。」

「ふん!」大次郎は不愉快気に顔をしかめて、「変えたのは、名前だけではないようだな。貴公、心の芯から変ったようだな。」

利七の宗七は、そぼ降る小雨のなかで、ぽんと一つ額部を叩いて、

「そ、そりゃ旦那、旦那の前ですが、女から女への七年間、いいかげん変りもしましょうさ。有森利七なんてえ野暮仁は、もう、とっくのむかし死んだんで、ここにこうしておりますのは、吉原から遠く深川へかけて、おんなの子を泣かせる恋慕流しの宗七さま、へへへへへ。