Classici giapponesi con furigana
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おぎふくうた
犀星王朝小品集
室生 犀星
Leggi 犀星王朝小品集 (おぎふくうた) di 室生 犀星 (むろうさいせい) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 105.794 caratteri · 211 schermate
袴野ノ麿はすての顔色を見ると、彼自身の顔色もたちまち思いがけない驚きに、曇った。
「すて、お前の顔色はどうした。」
すては黙って人差ゆびで、ボロきれをかむった死体をゆっくりと指さして見せた、すては声が出なかった。
袴野はボロきれを取り除いて、その死体の顔をあらため、殆ど叫喚に似た奇声があげられた。
「貝ノ馬介じゃないか、あ、舌を、すて、お前のしわざか。」
「ええ。」
「よくもやってくれた。」
「それより外にあたしの逃場がなかったんだもの。」
むしろ冷然と、舌は偶然に噛み切ったのだ、その心算は頭にも抵抗の時にもなかったと、すては、他人事のように言った。
「おれはいま初めてすてを見直した。それほどにこの袴野を思うてくれていたとは、きょうまで気がつかなかった。」
何んの、と、すては自嘲してにが笑いをして見せた。
「ただこうなったのも、その場の廻り合せさ、貝どのには相済まないこと、あなたにはそれがあたしのよそ事せぬようにして見せただけだ、あたしの心算はそんな気勝げな気持ではない、ただ、いやでいやでじゃ。」
「からだは?」
「触られただけ。」
「お前はえらい女だ、もとは侍の落し子らしいが。